さっぽろ薪プロジェクト2011

北海道の「社会的企業の提案による雇用創出モデル事業」に採択されました。

《課題の認識・事業の背景》

日本は京都議定書の発効に伴い、二酸化炭素の排出量を2012年までに1990年比で6%削減する義務を負い、この目標達成に向けた取り組みを推進している。しかし、2008年における二酸化炭素排出量は1990年を1.6%上回るなど、削減は必ずしも順調には進んでいない。国をあげての取り組みはもちろんのこと、各地域で排出される二酸化炭素の分野別の構成比から、その特徴を捉えた削減活動が求められている。

北海道は冬期間における暖房エネルギーの消費量が多いことなどにより、一世帯あたりの二酸化炭素排出量も日本全国平均の1.3 倍となっている。従って、北海道で温暖化対策を推進するためには、暖房等のエネルギーを化石燃料から木質バイオマス燃料などの再生可能エネルギーへ転換することが鍵になると考えられる。

また、中東情勢の緊迫化等によって原油価格が上昇しているが、中長期的にもピークオイルの観点から、地域レベルでエネルギーの自給率を少しでも向上させていく必要がある。そしてこれらの環境・エネルギー対策は、新しい産業としてこれからの北海道経済を牽引する原動力となっていくことが期待されている。

《事業の必要性・目的》

本事業は、地域の木質資源を市民のエネルギーとして活用する「エネルギーの地産地消」を進める、上記の課題解決に資することを目的とする。

木質資源の活用については、ペレットやチップとしての活用が進んでいるが、本事業では生産にコストやエネルギーをかけない薪として活用する基盤をつくる。

都市における薪ストーブユーザーのニーズは、「安定的な供給」と「リーズナブルな価格」である。一方都市における街路樹・公園樹等の剪定木や、都市近郊林での除間伐材等の木質資源は、十分に活用されていない。この需要と供給をマッチングし、市民参加で持続的にエネルギーとして活用するための仕組みづくりを実施する。

《事業の効果》

(1) CO2削減効果
灯油から薪への燃料転換で4.34t-CO2/世帯・年の削減量(地域産の薪への転換で0.068t-CO2/世帯・年)の削減効果がある。したがって本事業の目標である50世帯での実施だと、最大で217t-CO2/年、100世帯だと最大で434t-CO2の削減効果が期待できる。(札幌における世帯あたりのCO2排出量は6.9t-CO2/年。よってそれぞれ31世帯、63世帯分のCO2排出量削減効果を見込む)
(2) 経済効果
薪販売、ストーブ販売、ストーブ・煙突メンテナンス、炭素クレジット販売、廃棄物処理費削減等により、50世帯の参加で625万円、100世帯で1,250万円(それぞれ初年度売上額)程度の経済効果が期待できる。(P5経済効果の試算表参照)
(3) 雇用創出効果
本事業は、限りある資源を活用するためのコミュニティビジネス・ソーシャルビジネスを目指すものである。したがって、大きな雇用創出を生むものではないが、50世帯規模の事業で1名、100世帯規模での事業で3名程度の雇用創出が期待できる。

《事業内容》

地域の未活用の木質資源と薪ストーブユーザーのマッチングをはかるために以下の事業を実施する。

(1) 薪クラブ会員募集・組織化
50世帯規模の薪ストーブユーザーを会員として募集し、仕組みづくり検討に参加してもらう。木質資源の需給バランスを図るために、会員数を定めた会員制による運営を目指す。
(2) 剪定木による薪づくり
街路樹・公園樹木の剪定木(廃棄物)を薪として活用するための作業を、会員参加により実施する。また、仕組みとしての継続的な実施について、自治体と協議を進める。
(3) 除間伐への参加
地域の都市近郊林での森林整備をしながら、資源のエネルギー活用を進めるための試行を行う。(札幌市清田区白旗山での林地残材活用等を想定)
(4) 炭素クレジット化検討
地域の森林資源を、持続的に活用するインセンティブとなるような仕組みを検討する。家庭等での薪ストーブ利用によるCO2削減量の炭素クレジット化を検討する。
(5) 市民啓発活動
コミュニティFM局による、木質バイオマス資源活用専門番組を制作・放送する。インターネット放送を通じて市内はもちろん、全国の薪ストーブユーザーとのネットワークをつくる。
(6) 福祉施設との協働
薪割り・運搬・薪積みなどの薪づくりに伴う作業は、ひきこもりやニート、不登校の若者の就労体験・自立支援の場のひとつとして活用できるよう福祉施設と協働していく。
(7) 大学との協働
北海道大学大学院地球環境科学院は、「低炭素社会づくりプロジェクト」における学内バイオマス資源利活用および市民向け環境教育として、また大学事務局はCSR活動の一環として学内の剪定木を市民へ提供することを計画しており、本事業はその活動と協働していく。